前回、現代文の学習を知識・読解力・解法の三本柱に分けた。今回はその二本目、読解力の話をする。ひと言で「読解力」と言っても、実はその中身は二種類あって、伸ばし方もまるで違う。まず、そこを分けるところから始めたい。
読解力は一つではない


- 速読して文章の大意を読み取る力
- 精読して難解な文章を理解する力
この二つが、まるで別のものであることは、きっとすぐに分かると思う。


速読――時間との勝負で大意を取る

共通テストの選択問題も、細かくキズを探す消去法ではなく、大意を読み取れているかどうかを問うものが増えてきているから、気をつけないといけない。
精読――速読では取れない箇所を、作問者は狙う



難解といっても、語彙が難しかったり、背景知識が必要だったり、センテンスとセンテンスの間に補わなければ読めない飛躍があったり、パターンは色々あるよ。
速読の伸ばし方――筋トレ的な訓練

- 線を引きながら読む
- 時間を計って読む
- 背景知識を活用する
- トゲに敏感になる
こっちは本当に、筋トレ的な訓練になるね。だから当然、たくさん数をこなした方が良い。とはいえ、漫然とたくさんやっているような時間はないだろうから、コツを四つ挙げておいたよ。
線を引きながら読む


やっている間に自分なりのルールが出来上がってくる。その際、たいてい線の量が減っていくことになるから、最初は引きすぎなくらい引いておいたらいいよ。
時間を計って読む



背景知識を活用する

もちろん、最新の文章を出そうともしてくるから、一箇所か二箇所は目新しい論の展開を加えている文章が問題文には選ばれるものなんだけれど、その箇所以外は割とどこかで見聞きしたような論だったりするものなんだよ。


トゲに敏感になる



- 背景知識のインデックスになるような「キーワード」
- 文章全体を打ち消すような否定語――見落とすと完全に逆の意味になってしまう
- 「できる」等の可能表現――センテンスにプラスの意味を付加している
これらを細かく挙げていっても混乱するだけだと思うから、まずは「センテンスや単語の価値は全て均一というわけではない」と頭に入れた上で、「大事なところを見落とさないように気をつけよう」と意識するようにしよう。


引っかかったら、そこで一度止まって、主語・文法・論理・語義のどこがおかしいのかを確かめる。違和感は答えではなくて、確かめ始めの合図なんだ。


そうでない人は、上に挙げたような場所で意識して止まる練習をして、引っかかりを自分の中に作っていく。そのうち、意識しなくても刺さるようになる。ここも筋トレだね。
見落とさないでいた箇所がトゲのように刺さってくれるようになると、それを足がかりに読み進められるし、誤読も減るはずだよ。
精読の伸ばし方――「難解」とは何か

文章を書く時、筆者は当然、読者のことを意識しているよね。文章を書くというのは、コミュニケーションなんだから、相手のことを考えるというのは当たり前のこと。逆に言うと、筆者は自分の想定している読者に内容が伝わりさえすれば良いんだよ。だから、書かなくても読み取ってもらえると思った内容については、どんどんカットもしてしまう。
つまり、文章を難解に感じるということは、筆者の想定する読者としてのリテラシーに、解答者が追いついていない、ということになるね。
補足:大学入試の問題は、基本的には「新書」よりも難度の高い本から出題されることが多い。そういう意味では、大学生レベル以上を読者と想定していると考えた方がよい。ただ、逆に、あまりに専門的な文章は出ない。加減が難しいところではある。


- ヨコ(二項対立)
- タテ(具体と抽象)
- ピント(大意とセンテンス)
これらについては長くなるから、一つずつ別の記事にきちんとまとめる。
別の力なら、別の鍛え方

前回の言い方で言えば、「どこは速く進み、どこで立ち止まるのか。立ち止まったとき、何を手がかりに読み直すのか」。速く進む力と、立ち止まって読み直す力は、分けて鍛える。次回からは、立ち止まったときの手がかり――ヨコ・タテ・ピント――を一つずつ扱う。
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入試に出る 読解のための現代文キーワード700(旺文社・大学JUKEN新書)
過去10年の大学入試を分析し、読解に欠かせない700語を20章に整理。頻出度を星の数で示し、章ごとに確認テストを置いています。

