三本柱の三本目、解法の話に入る。解法と言っても裏技の話ではない。国語の「問題」というものが、誰と誰の間で成り立っているのかを最初に押さえておく。そこが分かっていない人は、どの教科でも点が取れない。
問題は、出題者との会話である


問題の作り手がいて、問題と答えを用意した上で、解答者の学力を試そうとしている。解答者は、何も素晴らしい答えを作り上げる必要なんてないんだよ。出題者が用意しているであろう答えを予想して答えてあげるだけで良い。
誰に感情移入するか



大学入試の小説の問題を、当の作家が解いてみたところ、全然及第点に届かなかったという話がある。もし、解答者が作家の考えを完全にトレースして読めて、答えを書けていたとしても、それで良い点数を取れるとは限らないんだよ。
- 解答者 ← 出題者 ← 作家 ← 登場人物
そもそも、よく考えてみれば、こういう順に並んでいるわけだから、登場人物の感情を読み取るなんていうのはとっても難しいと言える。そんな苦労はしなくていいから、出題者が何を問おうとしているのかをしっかりと考えるようにしよう。出題者の考えをトレースできれば、間違いなく良い点が取れるようになるよ。
出題者は何を考えているか

とはいえ、難関大と言えるような大学をはじめ、きちんとしたところの作ったテストは、大抵同じ理論で作られているから安心してね。
良い問題を作りたい――国語力を測れる問題

妙に難しい問題を出す先生とかいるかもしれないけど、解答者の習熟度をきちんと測れていないんだったら、全然良い問題じゃないね。その先生の自己満足と言えるかな。
小問ごとに、違う内容を問う



この「問題にできる箇所」を軸に、重複しないように問題を作っていくんだよ。そうしないと、例えば問3を解けた解答者はみんな問4も解ける、なんてことになってしまうからね。それじゃ解答者の実力がきちんと測れないでしょ!?
答えが一つに絞れるか



選択問題は「答えはこれにしかならない」と理由が説明できるようにしてから出題するし、記述問題は誰もが納得するような模範解答をきちんと作ってから、要素毎に分類して採点基準を用意する。現代文のテストの作問は、他の科目の数倍は労力がかかっているんじゃないかな。
でも、もし、入試なんかで出題した後で、「これも答えじゃないか?」と言われてきちんと答えられなかったら、とてもひどいことになってしまうよね。入試なら始末書を書かされるレベルだ。だから、ものすごく繊細に、どんな解答が多いかなんかもシミュレーションしながら作問しているんだよ。
リード文は、仕方なく書いている

出題者の立場から言うと、リード文というのは極力書きたくないんだよ。公になるような問題(入試問題や全国模試、問題集など)なら特に、作家さんから後になって「あのリード文は解釈が違う」なんて言われかねないからね。じゃあなぜ書くのか、と言えば、答えは一つ。書いておかないと解けないから。


まとめ
- 出題者とのコミュニケーションだという意識を持つことが大事。
- 出題者は、生徒の習熟度の弁別がつく問題を作りたい。
- だから、小問毎に違う内容を問いたい。
- 突っ込みが怖いから、答えが一つに絞れるように問題を作る。
- リード文は仕方がない時に入れているものだから、あったらきちんと読むべき。
次回からは、この出題者の側の事情を、実際の設問の解き方へ落としていく。最初は選択問題――選択肢を見る前に何をするか。
関連記事
前回、現代文が勉強しづらい理由について、「いろいろなものが一つの『国語力』としてまとめられているからだ」と書いた。では、実際に何を分ければよいのか。 三つの柱 現代文に詰め込みすぎてフワフワしているのは分かったけど、じゃあどうや[…]
前回、現代文の学習を知識・読解力・解法の三本柱に分けた。今回はその二本目、読解力の話をする。ひと言で「読解力」と言っても、実はその中身は二種類あって、伸ばし方もまるで違う。まず、そこを分けるところから始めたい。 読解力は一つではない […]
次の記事:選択肢を見る前に正答条件を立てる――傷と不足(準備中)
入試に出る 読解のための現代文キーワード700(旺文社・大学JUKEN新書)
過去10年の大学入試を分析し、読解に欠かせない700語を20章に整理。頻出度を星の数で示し、章ごとに確認テストを置いています。
|
|


