共通テスト 国語 第三の現代文 類題 ② 「役不足」は誤用か
文章と資料を読んで、設問ごとに解答番号の ①〜 をタップして答えます(もう一度押すと取り消し)。本番と同じ縦書きです。右から左へ、横にスワイプ(パソコンはマウスホイールを下へ回す)して読み進めます。「解きはじめる」を押すと時間を計ります(目安 約10分)。最後に「解答を終える」を押すと、点数と解説が出ます。学籍番号と点数・所要時間は、成績の集計のために記録します。
問題は KOTOHOGI が作成しました。資料は文化庁「国語に関する世論調査」などをもとに編集・加工したもので、文化庁が作成したものではありません。
資料の出典
- 【資料Ⅰ】 文化庁「国語に関する世論調査」(令和6年度)をもとに作成。
- 【資料Ⅱ】 【資料Ⅰ】と同じ調査をもとに作成。解説は同じ報告書より抜粋し、表記を一部改めた。
- 【資料Ⅲ】 文化庁「ことば食堂へようこそ!」役不足 映像台本(平成25年度文化庁委託事業)より抜粋。表記を一部改めた。
共通テスト 国語 第三の現代文 類題 ② 「役不足」は誤用か
Mさんは、「言葉の意味の揺れ」をテーマに資料を集めてレポートを書くことにした。【資料Ⅰ】〜【資料Ⅲ】は集めた資料をMさんがまとめ直したものである。Mさんは、資料を集めながらレポートの【構成案】の検討もしている。これらを読んで、後の問い(問1〜3)に答えよ。(配点20)
【構成案】
タイトル 「役不足」は誤用か
序論 レポートで書きたいことの要点を示す
本論1 言葉の意味の選ばれ方[事例]・五つの言葉の意味の選ばれ方 ・「役不足」の結果の移り変わりと、年齢による違い
本論2 「役不足」の意味を取り違える理由[事例]・本来の意味と、取り違えが起こる理由
本論3 本論1・2をふまえた自分の意見[ X ]
結論 レポートで書いたことの要点をまとめる
【資料Ⅰ】言葉の意味についての調査
質問:次の言葉の意味は、それぞれ(ア)と(イ)のどちらだと思いますか。
| 表1 五つの言葉のうち四つの結果(%) | |||
|---|---|---|---|
| 言葉 | 意味 | 2024年度 | 以前の調査 |
| 付かぬ事 例:付かぬ事をうかがいますが | (ア)些細でつまらないこと | 41.6 | ― |
| *(イ)それまでの話と関係のないこと | 45.6 | ― | |
| したり顔 例:したり顔で説明する | *(ア)得意げな様子 | 64.5 | ― |
| (イ)知ったかぶりしている様子 | 25.1 | ― | |
| にやける 例:彼はいつもにやけている | *(ア)なよなよとしている | 10.5 | 14.7(2011年度) |
| (イ)薄笑いを浮かべている | 81.9 | 76.5(2011年度) | |
| 潮時 例:そろそろ潮時だ | *(ア)ちょうどいい時期 | 41.9 | 60.0(2012年度) |
| (イ)ものごとの終わり | 46.7 | 36.1(2012年度) | |
| 表2 「役不足」(例:彼には役不足の仕事だ)の結果の移り変わり(%) | ||||
|---|---|---|---|---|
| 意味 | 2002年度 | 2006年度 | 2012年度 | 2024年度 |
| (ア)本人の力量に対して役目が重すぎること | 62.8 | 50.3 | 51.0 | 48.9 |
| *(イ)本人の力量に対して役目が軽すぎること | 27.6 | 40.3 | 41.6 | 45.1 |
| (ア)と(イ)の両方 | 2.8 | 2.9 | 2.5 | 4.5 |
※*は、辞書等で主に本来の意味とされてきたもの。「(ア)と(イ)の両方」「全く別の意味」などの回答は、表1では省いた。
※調べ方が変わったため、2019年度以前の結果は参考の値とされ、2024年度と比べるときには注意が必要とされている。 2024年度は全国16歳以上の3,498人が回答。
文化庁「国語に関する世論調査」(令和6年度)をもとに作成。
【資料Ⅱ】年齢別の結果(2024年度、%)
| 言葉 | 意味 | 16〜19歳 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70歳以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 役不足 | (ア)役目が重すぎること | 35.5 | 50.2 | 47.4 | 49.4 | 50.8 | 48.8 | 48.9 |
| *(イ)役目が軽すぎること | 55.1 | 46.9 | 47.4 | 46.9 | 43.8 | 46.2 | 41.8 | |
| 潮時 | *(ア)ちょうどいい時期 | 47.7 | 35.0 | 35.0 | 36.1 | 38.8 | 41.9 | 51.7 |
| (イ)ものごとの終わり | 37.4 | 50.2 | 53.5 | 54.1 | 52.1 | 45.1 | 36.8 |
※*は、辞書等で主に本来の意味とされてきたもの。
調査結果の解説(年齢別、抜粋) 「付かぬ事」は、60代以上で、本来の意味とされてきた(イ)を選択した人の割合が(ア)を上回っている。一方、30代以下で、(ア)の割合の方が高くなっている。「したり顔」は、全ての年齢層で、本来の意味とされてきた(ア)を選択した人の割合が(イ)を上回っている。(イ)を選択した人の割合は70歳以上で最も高く38.1%となっている。「にやける」は、全ての年齢層で、(イ)を選択した人の割合が(ア)を50ポイント以上上回っている。「役不足」は、16〜19歳を除き、ほとんどの年齢層で、(イ)と(ア)の割合の差が小さい傾向にある。
【資料Ⅰ】と同じ調査をもとに作成。解説は同じ報告書より抜粋し、表記を一部改めた。
問1 Mさんは【構成案】の本論1に関連して、【資料Ⅰ】と【資料Ⅱ】からわかることを、それぞれ整理することにした。その組合せとして最も適当なものを、後の①〜④のうちから一つ選べ。解答番号は1。(4点)
(ア)【資料Ⅰ】―「役不足」で本来の意味を選んだ人の割合は調査のたびに高くなってきているが、調べ方が変わっているので、比べ方には注意が要る。
(イ)【資料Ⅰ】―「潮時」で本来の意味を選んだ人の割合は、「役不足」と同じように、以前の調査と比べて高くなってきていることがわかる。
(ウ)【資料Ⅱ】―「役不足」で本来の意味を選んだ人の割合が、そうでない方を上回るのは16〜19歳だけで、30代では両者が同じ割合である。
(エ)【資料Ⅱ】―「役不足」で本来の意味を選んだ人の割合は、年齢層が高くなるほど低くなっていて、70歳以上で最も低くなっている。
- ①【資料Ⅰ】―(ア) 【資料Ⅱ】―(エ)
- ②【資料Ⅰ】―(ア) 【資料Ⅱ】―(ウ)
- ③【資料Ⅰ】―(イ) 【資料Ⅱ】―(ウ)
- ④【資料Ⅰ】―(イ) 【資料Ⅱ】―(エ)
【資料Ⅲ】言葉の本来の意味を紹介する動画の台本(2013年度制作)
〈ある会社で、上司が、他社で活躍していた新人の小林を部員に紹介する場面〉
上司「小林君には、早速、今、動いているプロジェクトチームに入ってもらうことにした。」
小林「はい。役不足ですが、精一杯頑張ります!」
上司「えっ? あ、既に進行中のプロジェクトでは不満だった?」
解説者「『役不足』とは、本来『本人の力量に対して役目が軽すぎること』という意味です。平成18年度(2006年度)と24年度(2012年度)の『国語に関する世論調査』で、その意味を尋ねたところ『本人の力量に対して役目が重すぎること』と理解している人が2回とも半数を超え、本来の意味を選んだ人の割合を10ポイントほど上回っています。本来は“役目そのものが不足している・軽い”なのに、『役不足』の意味を『力量に対して役目が重すぎる』と誤解している理由としては、荷が重過ぎる、また、大役過ぎるときに使う『力不足』や『力量不足』といった言葉と混同して、“役目に対する自分の力量が不足”と捉えてしまっていることなどが考えられます。使う人によって正反対の意味で用いられることのある言葉は、コミュニケーションの上で重大な誤解を生む危険がありますので、注意が必要です。」
文化庁「ことば食堂へようこそ!」役不足 映像台本(平成25年度文化庁委託事業)より抜粋。表記を一部改めた。
問2(ⅰ) Mさんは、本論1に書くため、【資料Ⅰ】の表2の結果をグラフにまとめることにした。グラフの内容として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。解答番号は2。(4点)
(ⅱ) Mさんは、本論2に書くため、【資料Ⅲ】の解説者の説明を要約して情報を整理することにした。その内容として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。解答番号は3。(4点)
- ①「役不足」は本来、力量に対して役目が軽すぎることを表すが、自分を低く言おうとする気持ちから逆の意味で使う人が多い。正反対の意味で使われる言葉は、注意して使う必要がある。
- ②「役不足」は本来、力量に対して役目が軽すぎることを表すが、「力不足」などと混同し逆の意味に取る人が多く、2回とも本来の意味を選んだ人が半数を超えた。正反対の意味の言葉には注意が要る。
- ③「役不足」は本来、力量に対して役目が軽すぎることを表すが、「力不足」などと混同して逆の意味に取る人が増え、平成24年度に半数を超えた。正反対の意味の言葉には注意が要る。
- ④「役不足」は本来、力量に対して役目が軽すぎることを表すが、「力不足」などと混同して逆の意味に取る人が多い。正反対の意味で使われる言葉は誤解を生みやすいので、注意が要る。
問3 Mさんは、本論3に書く自分の意見を【構成案】の空欄[ X ]に書くことにした。次の①〜⑤のうち、書く内容として適当でないものを二つ選べ。ただし、解答の順序は問わない。解答番号は4・5。(各4点)
- ①【資料Ⅲ】から、正反対の意味で使われる言葉は誤解を生む危険があるとわかる。受け取り方が人によって分かれる言葉を使うときは、相手に合わせて言い換えたり説明を添えたりする工夫が大切ではないか。
- ②【資料Ⅰ】から、「役不足」で本来の意味を選んだ人は2024年度に45・1%だとわかる。【資料Ⅲ】の説明は2012年度までの結果によるので、新しい結果と合わせて読むことが大切ではないか。
- ③【資料Ⅱ】から、「役不足」では16〜19歳で本来の意味を選んだ人が最も多いとわかる。本来の意味を選ぶ人は若い世代から増え始めているので、今後は本来の意味で使う人が増えていくのではないか。
- ④【資料Ⅱ】から、「潮時」では本来の意味を選ぶ人が16〜19歳と70歳以上で多く、20〜50代で少ないとわかる。揺れは「若い人ほど誤る」の一方向ではないので、年齢で決めつけないことが大切ではないか。
- ⑤【資料Ⅰ】から、「にやける」では本来の意味とされてきたものを選んだ人が2011年度より増えているとわかる。見直されている言葉もあるので、揺れを一方向と決めつけないことが大切ではないか。
解答・解説
解答 問1 ② 問2(ⅰ) ① 問2(ⅱ) ④ 問3 ③・⑤
- (ア) 正しい。本来の意味(軽すぎる)は27・6→40・3→41・6→45・1%と毎回高くなっている。注記のとおり2019年度以前とは調べ方が違う。
- (イ) 誤り。「潮時」の本来の意味(ちょうどいい時期)は60・0%(2012年度)から41・9%(2024年度)へ下がっている。
- (ウ) 正しい。本来の意味が上回るのは16〜19歳(55・1%対35・5%)だけで、30代はどちらも47・4%。
- (エ) 誤り。70歳以上(41・8%)が最も低いのは正しいが、20代46・9→30代47・4、50代43・8→60代46・2と上がる所があり、「高くなるほど低く」とは言えない。
- ② 2002年度の値が入れ替わっている。2002年度は本来とは異なる意味が62・8%である。
- ③ 実線と破線が逆。本来の意味は「役目が軽すぎること」で、割合はどの年度も低い方である。
- ④ 2024年度の値が入れ替わっている。2024年度も本来とは異なる意味(48・9%)の方が高い。
- ① 取り違えの理由を「自分を低く言おうとする気持ち」としているが、資料Ⅲが挙げる理由は「力不足」などとの混同である。
- ② 資料Ⅲは、2回とも半数を超えたのは「重すぎる」と理解している人(本来とは異なる意味)で、本来の意味を選んだ人はそれを10ポイントほど下回る、と述べている。半数を超えた側が逆。
- ③ 資料Ⅲは、平成18年度と24年度の「2回とも半数を超え」と述べており、平成18年度の時点ですでに半数を超えている。平成24年度に初めて半数を超えたのではない。
- ① 資料Ⅲの注意の呼びかけに基づき、伝え方の工夫を述べる意見で適当。
- ② 2024年度の値(45・1%)の読みは正しく、資料Ⅲが2012年度までの結果に基づくことに気づいた意見で適当。
- ④ 表3で「潮時」の本来の意味(ちょうどいい時期)は16〜19歳47・7%・70歳以上51・7%で、20〜50代(35・0〜38・8%)より高い(60代は41・9%)。資料の読みに基づく意見で適当。
問題は KOTOHOGI が作成しました。資料は文化庁「国語に関する世論調査」などをもとに編集・加工したもので、文化庁が作成したものではありません。
資料の出典
- 【資料Ⅰ】 文化庁「国語に関する世論調査」(令和6年度)をもとに作成。
- 【資料Ⅱ】 【資料Ⅰ】と同じ調査をもとに作成。解説は同じ報告書より抜粋し、表記を一部改めた。
- 【資料Ⅲ】 文化庁「ことば食堂へようこそ!」役不足 映像台本(平成25年度文化庁委託事業)より抜粋。表記を一部改めた。