共通テスト 国語 第三の現代文 類題 ① コミュニケーション能力とは何か
文章と資料を読んで、設問ごとに解答番号の ①〜 をタップして答えます(もう一度押すと取り消し)。本番と同じ縦書きです。右から左へ、横にスワイプ(パソコンはマウスホイールを下へ回す)して読み進めます。「解きはじめる」を押すと時間を計ります(目安 約10分)。最後に「解答を終える」を押すと、点数と解説が出ます。学籍番号と点数・所要時間は、成績の集計のために記録します。
問題は KOTOHOGI が作成しました。資料は文化庁「国語に関する世論調査」などをもとに編集・加工したもので、文化庁が作成したものではありません。
資料の出典
- 【資料Ⅰ】 文化庁「国語に関する世論調査」(平成28年度)をもとに作成。1997年度・2008年度は同調査の過去の結果。
- 【資料Ⅱ】 文化審議会国語分科会「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」(2018年)より抜粋。
- 【資料Ⅲ】 文化庁「国語に関する世論調査」(平成28年度)をもとに作成。
共通テスト 国語 第三の現代文 類題 ① コミュニケーション能力とは何か
言葉と人との関わりについて自分の考えを書くという課題を与えられたSさんは、「コミュニケーション能力」という言葉に興味を持ち、そのことを例に【文章】をまとめている。【資料Ⅰ】と【資料Ⅱ】は、Sさんが集めた資料である。これらを読んで、後の問い(問1〜3)に答えよ。(配点20)
【文章】(段落に[1]〜[4]の番号を付してある。)
[1] 進学や就職の面接では、「コミュニケーション能力」が求められるとよく聞く。私はそれを、自分の考えをはっきり言葉にする力のことだと思っていた。【資料Ⅰ】の表1を見ると、相手との伝え合いで「できるだけ言葉に表して伝え合うこと」を重視する人は、二〇〇八年度の三八・三%から二〇一六年度には五〇・一%へ増え、「察し合って心を通わせること」を重視する人を上回っている。(X)ここでは、コミュニケーション能力とはどのようなものかを、資料をもとに考えてみたい。
[2] 【資料Ⅱ】によると、言葉による伝え合いを支える要素には、「正確さ」「分かりやすさ」「ふさわしさ」「敬意と親しさ」の四つがあり、これらは互いに対立することもあるという。例えば、医師が患者に病気について説明するときには、医師が患者の立場に立って言葉を選ぶことAが求められる。
[3] では、意見の合わない相手と向き合うとき、私たちはどうしているのだろうか。表2を見ると、意見が食い違ったときに「なるべく事を荒立てないで収めたい」人は六割を超える。しかし、表1のとおり、考えをできるだけ言葉に表して伝え合うことを重視する人は五割に増えている。黙っているわけではないのだ。人は、考えの違う相手と向き合うとき、自分を抑えて黙るのではなく、相手や場面に合わせて伝え方を変え、歩み寄ろうとしているのではないかB。
[4] 今回はコミュニケーション能力を例に、言葉と人との関わりについて考えた。相手に合わせて言葉を選ぶ力を、これからも大切にしたい。
【資料Ⅰ】伝え合いや意見の表明についての意識
質問1:相手との伝え合いにおいて、どちらかと言えば、どちらの方を重視していますか。
| 表1 質問1の結果(%) | ||
|---|---|---|
| 2008年度 | 2016年度 | |
| 互いの考えていることをできるだけ言葉に表して伝え合うこと | 38.3 | 50.1 |
| 考えていることを全部は言わなくても、互いに察し合って心を通わせること | 33.6 | 30.3 |
| 相手や付き合いの種類によって異なるので、一概には言えない | 26.0 | 16.3 |
質問2:次の(1)〜(4)について、あなたは(a)と(b)のどちらに当てはまると思いますか。
| 表2 質問2の結果(%) | ||||
|---|---|---|---|---|
| 当てはまると思うもの | 1997年度 | 2008年度 | 2016年度 | |
| (1) | (a)自分の考えや意見を積極的に表現する方だ | 40.1 | 37.8 | 43.1 |
| (b)自分の考えや意見を表現することには消極的な方だ | 35.1 | 35.1 | 41.9 | |
| 場合によると思う | 24.3 | 26.7 | 14.8 | |
| (2) | (a)人と意見が食い違っているときには、納得がいくまで議論したい方だ | 27.1 | 23.2 | 24.9 |
| (b)人と意見が食い違っているときには、なるべく事を荒立てないで収めたい方だ | 50.7 | 51.3 | 61.7 | |
| 場合によると思う | 21.9 | 24.9 | 13.3 | |
| (3) | (a)人に話をするときには、筋道を立てて分かりやすく話すことを心掛ける方だ | 40.7 | 33.9 | 41.0 |
| (b)人に話をするときには、相手の気持ちになじむように、やわらかく話すことを心掛ける方だ | 41.6 | 43.2 | 47.7 | |
| 場合によると思う | 16.3 | 21.8 | 11.0 | |
※表1は「(a)と(b)のどちらも重視していない」「分からない」の回答を、表2は「分からない」の回答を省いた。2016年度は全国16歳以上の2,015人が回答。
文化庁「国語に関する世論調査」(平成28年度)をもとに作成。1997年度・2008年度は同調査の過去の結果。
【資料Ⅱ】言葉による伝え合いを支える四つの要素
言語コミュニケーションが円滑に進んでいるときには、次に挙げる四つの要素が、目的に応じてバランス良く言葉のやり取りを支え、言葉の使い方に反映されていると考える。まず「正確さ」がある。これは、互いにとって必要な情報を誤りなくかつ過不足なく伝え合うことである。次に「分かりやすさ」がある。これは、互いが十分に情報を理解できるように、表現を工夫して伝え合うことである。さらに「ふさわしさ」がある。これは、場面や状況、相手の気持ちに配慮した話題や言葉を選び、適切な手段・媒体を通じて伝え合うことである。そして最後に「敬意と親しさ」がある。これは、伝え合う者同士が近づき過ぎず、遠ざかり過ぎず、互いに心地良い距離をとりながら伝え合うことである。
ただし、これら四つの要素は、互いを支え合うだけではなく、対立する側面も持っている。(中略)伝え合いの目的、相手、場面や状況によって、どの要素を優先し、あるいは控えるのか、バランスをうまく取りながら、情報や互いの考え、気持ちなどをやり取りすることが、分かり合うための言語コミュニケーションを実現していく上でのヒントとなる。
例えば、患者が医師から説明を受ける際には、(中略)様々な情報を正確に聞きたいと思うでしょう。(中略)医学用語では、「虫歯」を「齲蝕(うしょく)」と言いますが、「齲蝕があります。」と歯科医に言われても、意味の分からない人が多いでしょう。(中略)言い換えや説明などによって、分かりやすくする工夫が求められます。(中略)「治すには、時間が掛かりますね。」と言われるのと「時間は掛かりますが、きっと治りますよ。」と言われるのとでは、どちらが気持ち良く受け止められるでしょうか。(中略)医師が最初から友人のような口調でいたり、逆にずっと型にはまったような敬語でしか話さなかったりしたらどう感じるでしょうか。
文化審議会国語分科会「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」(2018年)より抜粋。
問1 Sさんは、コミュニケーション能力とはどのようなものかを考える理由を明確にするため、【文章】の[1]段落の(X)に文を書き加えることにした。書き加える文として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。解答番号は1。(4点)
- ①一方、表1が示すとおり、同じ期間に、互いに察し合って心を通わせることを重視する人は、四割台から三割へと減っている。
- ②一方、表2が示すとおり、同じ期間に、自分の考えを表現することに消極的な人は減ったが、積極的に表現する人は増えている。
- ③一方、表2が示すとおり、意見が食い違ったときには納得がいくまで議論したい人が、一九九七年度から二〇一六年度まで減り続けている。
- ④一方、表2が示すとおり、同じ期間に、意見が食い違ったときには事を荒立てないで収めたい人も、五割から六割へ増えている。
問2 Sさんは、【文章】の傍線部A「医師が患者の立場に立って言葉を選ぶこと」を、【資料Ⅱ】に即して具体的に書き直すことにした。書き直した表現として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。解答番号は2。(4点)
- ①医師が、患者に必要な情報を誤りなく過不足なく伝えたうえで、医学用語の意味は患者が自分で調べ、分からない点を尋ねるよう促すこと
- ②医師が、患者に必要な情報を誤りなく過不足なく伝え、医学用語は言い換えや説明によって患者が理解できるようにすること
- ③医師が、患者との距離を縮めるために最初は友人のような口調で話しかけ、治療の説明に入ってからは改まった敬語に切り替えること
- ④医師が、患者に必要な情報を誤りなく伝えたうえで、医学用語はそのまま用い、意味の分からない点は患者が尋ねるのを待つこと
【Sさんが加えた資料】
問3 Sさんは、同じ調査の別の質問の結果を【資料Ⅲ】としてまとめ、【文章】の[3]段落の考えに根拠を加え、さらに【文章】の全体を整えることにした。これを読んで、後の(ⅰ)・(ⅱ)の問いに答えよ。
【資料Ⅲ】相手に配慮したコミュニケーションについての意識(2016年度)
質問3:自分と明らかに考え方の違う人と意見交換するとしたら、どのような態度を取る必要があると思いますか。
| 表3 質問3の結果(全体、%) | |
|---|---|
| 考え方の近い人と話すときよりも、柔軟な態度を取る | 55.5 |
| 必要最低限の話で済ませ、余り深く関わらないような態度を取る | 28.2 |
| 特に意識しない | 11.4 |
| 考え方の近い人と話すときよりも、自分の意志を曲げないような態度を取る | 3.0 |
質問4:知識や経験、理解力が十分である人と十分でない人との間で、円滑なコミュニケーションを図るために歩み寄る努力をしなければならないのは、どちらの側だと思いますか。
| 表4 質問4の結果(全体、%) | |
|---|---|
| どんな場面であっても、知識等の十分な人が努力をした方がいい | 16.1 |
| どちらかと言えば、知識等の十分な人が努力をした方がいい | 28.2 |
| 知識等の十分な人(計) | 44.3 |
| 両方とも同じように努力をした方がいい | 42.8 |
| どちらかと言えば、知識等の十分でない人が努力をした方がいい | 8.3 |
| どんな場面であっても、知識等の十分でない人が努力をした方がいい | 2.7 |
| 知識等の十分でない人(計) | 11.0 |
| 表5 質問4の結果(年齢別、%) | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 全体 | 16〜19歳 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70歳以上 | |
| 知識等の十分な人(計) | 44.3 | 36.8 | 39.3 | 38.8 | 39.6 | 46.8 | 52.2 | 43.6 |
| 両方とも同じように努力をした方がいい | 42.8 | 32.9 | 49.2 | 50.9 | 50.5 | 41.3 | 38.3 | 39.0 |
| 知識等の十分でない人(計) | 11.0 | 28.9 | 11.5 | 10.3 | 9.0 | 11.6 | 8.5 | 11.6 |
質問5:次の(1)〜(5)の場面で、受け入れやすいと感じる相手の話し方はどちらですか。
| 表6 質問5の結果(%) | |||
|---|---|---|---|
| 感情や気持ちよりも、内容や理由を重視する話し方 | 内容や理由よりも、感情や気持ちを重視する話し方 | 場合にもよるので、一概には言えない | |
| (1)相手から、何か謝罪をされるとき | 24.8 | 37.7 | 35.9 |
| (2)相手から、何か相談をされるとき | 53.5 | 18.9 | 25.9 |
| (3)相手から、何かお願いをされるとき | 47.8 | 17.7 | 32.8 |
| (4)相手から、何か指示を受けるとき | 56.3 | 10.4 | 31.3 |
| (5)相手にお願いしたことを、断られるとき | 33.1 | 23.5 | 40.6 |
※表3・表4・表5は「その他」「分からない」の回答を、表6は「分からない」の回答を省いた。(計)は上の二つの回答を合わせた値。全国16歳以上の2,015人が回答。
文化庁「国語に関する世論調査」(平成28年度)をもとに作成。
(ⅰ) Sさんは、【文章】の[3]段落の傍線部B「人は、考えの違う相手と向き合うとき、自分を抑えて黙るのではなく、相手や場面に合わせて伝え方を変え、歩み寄ろうとしているのではないか」という考えの根拠を示すため、【資料Ⅲ】から読み取れることを整理した。傍線部Bの根拠として適当でないものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。解答番号は3。(4点)
- ①自分と考え方の違う人との意見交換では、柔軟な態度を取ると答えた人が最も多く、自分の意志を曲げないと答えた人は三%にとどまること。
- ②自分と考え方の違う人との意見交換で、必要最低限の話で済ませて余り深く関わらないようにすると答えた人は、三割に満たないこと。
- ③相手にお願いしたことを断られるときにも、内容や理由を重視する話し方が受け入れやすいと答えた人が、場合にもよると答えた人より多いこと。
- ④相手から指示を受けるときや相談をされるときには、内容や理由を重視する話し方が受け入れやすいと答えた人が、場合にもよると答えた人より多いこと。
(ⅱ) さらにSさんは【文章】全体を読み直し、加筆・修正したいと思ったことを書き留めた。加筆の方針として最も適当なものを次の①〜③のうちから一つ、傍線部Bの修正の方針として最も適当なものを次の④〜⑥のうちから一つ、それぞれ選べ。加筆の方針についての解答番号は4、修正の方針についての解答番号は5。(各4点)
- ①【資料Ⅲ】の表3をもとに、考え方の違う人とは必要最低限の話で済ませると答えた人が、柔軟な態度を取ると答えた人より多いことを[3]段落に加筆する。
- ②【資料Ⅲ】の表5をもとに、一六〜一九歳では、歩み寄る努力をするのは知識等の十分でない人だと答えた人(計)が、ほかのどの年代よりも高いことを[3]段落に加筆する。
- ③【資料Ⅲ】の表6をもとに、相手から謝罪をされるときにも、感情や気持ちよりも内容や理由を重視する話し方が最も受け入れやすいとされていることを[3]段落に加筆する。
- ④傍線部Bを「相手に合わせて話し方を変えようとしているが、歩み寄る努力は、両方が同じようにというより、知識等の十分でない側に期待する人のほうが多い」と修正する。
- ⑤傍線部Bを「相手に合わせて話し方を変えようとしているが、歩み寄る努力は、どの年代でも、両方が同じようにというより知識等の十分な側に期待する人のほうが多い」と修正する。
- ⑥傍線部Bを「相手に合わせて話し方を変えようとしているが、歩み寄る努力は、両方が同じようにというより、知識等の十分な側に期待する人のほうが多い」と修正する。
解答・解説
解答 問1 ④ 問2 ② 問3(ⅰ) ③ 問3(ⅱ) ②・⑥
- ① 表1の「察し合って心を通わせること」は33・6%から30・3%で、どちらも三割台。「四割台から三割へ」ではない。
- ② 表2(1)の「消極的な方だ」は35・1%から41・9%へ増えている。「減った」は資料と合わない(「積極的に表現する」37・8→43・1%が増えているのは正しい)。
- ③ 表2(2)の「納得がいくまで議論したい方だ」は27・1→23・2→24・9%で、2008年度から2016年度には増えている。「減り続けている」ではない。
- ① 資料Ⅱは医学用語について「言い換えや説明などによって、分かりやすくする工夫が求められます」と、医師(伝える側)の工夫を求めている。患者に調べさせる向きではない。
- ③ 資料Ⅱは「医師が最初から友人のような口調でいたり…したらどう感じるでしょうか」と疑問を投げかけている。「敬意と親しさ」は「近づき過ぎず、遠ざかり過ぎず」の距離のとり方で、最初だけ友人のように話すのは合わない。
- ④ 資料Ⅱは医学用語について「言い換えや説明などによって、分かりやすくする工夫が求められます」と、伝える側の工夫を求めている。そのまま用いて患者が尋ねるのを待つのは「分かりやすさ」に反する。
- ① 表3で「柔軟な態度を取る」55・5%が最多、「自分の意志を曲げない」は3・0%。自分を抑えて黙るのでも意地を張るのでもなく、相手に合わせている根拠になる。
- ② 表3で「必要最低限の話で済ませ、余り深く関わらない」は28・2%で三割に満たない。考えの違う相手を避けて黙るのではない、という根拠になる。
- ④ 表6の(4)指示を受けるときは内容重視56・3%>場合にもよる31・3%、(2)相談をされるときは53・5%>25・9%。場面によって受け入れやすい話し方が違うことの根拠になる。
- ① 表3で「必要最低限の話で済ませ、余り深く関わらない」は28・2%、「柔軟な態度を取る」は55・5%。多いのは柔軟な態度のほう。
- ③ 表6で謝罪をされるときは「感情や気持ちを重視する話し方」37・7%が「内容や理由」24・8%を上回る。
- ④ 表4で「知識等の十分でない人(計)」は11・0%で、「十分な人(計)」44・3%よりずっと少ない。向きが逆。
- ⑤ 表5で20代・30代・40代は「両方とも同じように」(49・2・50・9・50・5%)が「知識等の十分な人(計)」(39・3・38・8・39・6%)より多い。「どの年代でも」は資料と合わない。全体(合計)では十分な側が多い(⑥)。
問題は KOTOHOGI が作成しました。資料は文化庁「国語に関する世論調査」などをもとに編集・加工したもので、文化庁が作成したものではありません。
資料の出典
- 【資料Ⅰ】 文化庁「国語に関する世論調査」(平成28年度)をもとに作成。1997年度・2008年度は同調査の過去の結果。
- 【資料Ⅱ】 文化審議会国語分科会「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」(2018年)より抜粋。
- 【資料Ⅲ】 文化庁「国語に関する世論調査」(平成28年度)をもとに作成。